お米文化に変わるパン文化を広めたい la vie du reve(ラヴィデュレーヴ)愛知県岡崎市

日本の食卓にとけ込む “パンのある生活”を叶え、 夢を紡ぐ。 la vie du pain
焼成パン・冷凍生地・直営店 ベーカリーショップ 愛知県岡崎市
la vie du reve (ラヴィデュレーヴ)

ラヴィデュパン

岡崎市の中心街から、北へ逸れた真伝町。入り組んだ住宅街の小路の一角に、「ラヴィデュパン」はあります。真っ白い壁、オレンジ色の瓦屋根が青空に映える建物。
オーナーである加藤大貴が、南仏の街で目にした一軒家をイメージし、レンガや看板などを現地から手配するなど、細部にまで思い入れを込めて形にしました。
店の前に立つと、異国の町に迷い込んだような錯覚に包まれ、非日常の世界へ誘われます。

フランス、東京、大阪、名古屋など各地の名店で多彩な経験を積んだ加藤大貴が、郷土である岡崎の地で第一歩を踏み出した「ラヴィデュパン」。
オープンから5年間を経て、築いてきたもの。そして、これからの5年、10年に馳せる思いとは?
加藤大貴が描く、“パンのある生活”を実現する総本山として、セカンドステージへと突入した「ラヴィデュパン」へかける思いを、聞きました。

パンの多彩な表情、
奥深さに挑戦心を刺激され、
パン職人の道へ。

― パン職人になろうと思ったきっかけを教えてください。

陸上に打ち込んでいた高校時代。ケガなどをきっかけに、陸上選手としての道を諦めた時、自分には何ができるのだろうか、どんな人生を歩みたいのだろうかと自問する日々が続いていました。進学校だったこともあり、周りの友人は受験勉強に没頭していましたが、大学に行きたいという強い意志もなく、勉強にも身が入りませんでした。
そんな時、とあるテレビ番組で戦後昭和のパン屋を舞台にしたドラマを目にしたんです。もともと食への興味が深かったこともあり、パン作りの奥深さに触れたことで、パン職人への関心を抱くように。地元で人気を博していた石窯パンの店の門を叩き、アルバイトをスタート。学校が休みの日は片道20kmの道のりを自転車で通い詰めました。

― パン作りにのめり込んでいった理由は?

高校卒業後、日本におけるフランスパンの先駆的存在でもある「ドンク」の製造現場で働き、パン作りの基礎を習得。その後、パン職人として憧れの存在だった関西の某有名ブーランジェリーへ入り、パンと向き合う姿勢を学びました。
パンを作る内にまざまざと感じたのは、微生物の働きや発酵の作用など、パンが“生き物”であるということ。水の分量や炊飯器の機能など、条件を整えればほぼ同じ炊き上がりになるお米とは異なり、作り手や気候、酵母の状況など、環境が変わるとまったく違う表情を見せるのがパンです。
パンが見せる豊かな表情、汎用性、無限の可能性が、難しいことにチャレンジしたいという私自身の中にある挑戦欲と好奇心に火を着けたのだと思います。

フランスで感じた“パンのある生活”の豊かさを日本にも広めたい。

― その後、本場のフランスへ渡られました。フランスで感じたこと、身に付けたことはどのようなことだったのでしょうか。

フランスでは、世界的なベーカリーブランド「メゾンカイザー」の厨房を担当し、系列店の立ち上げを経験するなど、非常に多くのことを学びました。製造現場、新店を軌道にのせるノウハウなど、あらゆる経験と合わせて深く記憶に刻まれたのは、パンを中心に広がるフランスの方たちの豊かな暮らしです。
フランスの方たちは、自分のお気に入りのパン屋さんで毎日、1本100円〜150円ほどのバゲットを買い求め、フレッシュな内に食べきります。朝から晩まで、常にパンが真ん中にある生活は、とても潤いに満ちていました。
パン職人としてパン作りを極めたいという思いは、いつしか、生まれ故郷である岡崎にも、日本のすみずみにも、この幸せな風景を広めたいという夢へと昇華していったのです。

― 日本に帰国後は、「ジョエルロブション」のベーカリー部門や、東京の「メゾンカイザー」など、多彩なフィールドで活躍されました。その経験をもとに、生まれ育った岡崎に「ラヴィデュパン」を開店されたお気持ち、経緯について、お聞かせください。

フランスで目にした“パンのある生活”を日本にも広めたいーー。その一心で帰国し、さらに研鑽を積みました。作り手として、経営者として、プロデューサーとして。またフランス料理店のベーカリー部門に携わることで、料理人や菓子職人の視点も得ることができました。
最終的に岡崎を選んだのは、自分の力で表現者としてスタートを切るのは、原点であるこの地以外にはないという思いがあったから。生家のすぐ隣、大通りにも面していない、入り組んだ住宅街の中。通りすがりにぶらりと立ち寄る人はほとんどいない。私の作るパンを求めて、わざわざ足を運んでもらえる場所。
そこには、経験と実績に裏付けされた“自分にしか作れないパンがある”、“おいしいパンを作れば必ず買いに来てくれる”という確信があったのです。

日本人の味覚に響く、
加水量を増やしたもっちり食感の岡崎食パンが名物に。

―看板商品である岡崎食パンは、どのように誕生したのでしょうか。

フランス人が、朝から晩までバゲットを楽しむように、日本人にとって、ご飯のように食生活の真ん中に馴染むパンといえば、食パンだと思いました。
それも、お餅好きの日本人特有の味覚、もっちり食感に惹かれる嗜好性に訴えかけられるような、水分量の多いもっちり、甘みのある食パンを生み出したいと試作を重ねました。
一般的に水分量が多いと、焼き上がりの形状が保ち難くなるのですが、フランス、日本の名店で習得したさまざまな手法、各素材の利点を組み合わせ、食卓の中で主役にも脇役にもなれる、存在感のある生地にたどり着きました。
岡崎食パンは、今なお、「ラヴィデュパン」のシンボルとして愛されていますし、新たな挑戦である食パン専門店「クラストパン」誕生のルーツとして、これからも多くの人に親しんでいただけるパンであってほしいと願っています。


―「ラヴィデュパン」のラインナップについて、ご紹介をお願いします。

現在は、80種類ほどのパンを製造しています。主に下段の棚には、惣菜パンやスイーツパンなど、手軽に購入しやすいアレンジパンを陳列。
フランス仕込みの本格的なパンのおいしさを知っていただきたいという思いももちろんありますが、文化の違う所で、エキセントリックな商品を突然押しつけても受け入れられない。それであれば、日本人にとっても親しみ深いメロンパンやカレーパン、クリームパンなどをベースにしながらも、「ラヴィデュパン」らしい、フランスのエッセンスを取り入れたアレンジパンを入り口に、生地本来のおいしさを感じるきっかけになってもらえればうれしいなと感じています。
アレンジパンで生地のおいしさを知っていただいたら、ぜひとも上段の食事パンを。小麦の味わい深さ、味覚が喜ぶ食感など、生地本来の持ち味が光るラインナップです。シーンや料理に合わせて、お好みでアレンジを楽しんでいただきたいですね。

「バプール」「クラストパン」と一体となり、
パンから広がる楽しさを発信。

― 開店から5年。今後、ラヴィデュレーヴはどのように進化していくのでしょうか。

ラヴィデュレーヴのグループ全体として、これまで以上に、ベースとなる一つひとつの生地をブラッシュアップしていきたい。余分な物を削ぎ落とし、体に馴染むもの、自然への回帰をテーマにした材料選び、商品作りを心がけていきたいと考えています。例えば、国内産の原材料にもっと目を向けることもその一つです。
シンプルで、体が喜ぶようなパンを提供し、生地のおいしさで人々を感動させることができるようなパンを作り続けていきたいです。

― 2021年12月には、新店舗「クラストパン」がオープンしました。3店舗のそれぞれの個性、特徴を教えてください。

パンのスタイルやネーミング、店の雰囲気などを通して、フランスらしい洗練感、エレガントさを届けたいという思いを積み重ねてきた「ラヴィデュパン」。
かつての銭湯のように、町の人々の暮らしに息づき、子どもから大人まで、硬貨を握りしめて気軽に暖簾をくぐってほしいという思いを込めた「バプール」。
フランス人が毎日、フレッシュなバゲットを買って朝から晩まで楽しむように、日本の生活に根付いたパン屋になりたいという思いを凝縮した「クラストパン」。
テイストもコンセプトも、一見まったく異なる3つの直営店ですが、3店舗が兄弟姉妹のように、三つ子のように一体となり、パンを楽しむ多様なスタイルの広がりを伝えていきたいです。

― 「ラヴィデュパン」は、グループの中でどのような役割を担っていくのでしょうか。

「ラヴィデュパン」が果たす重要な役割の一つに、パンの作り手の方、経営者の方にとってより所になるというミッションがあります。技術、商品開発、食材選び、人材育成、店づくり、見せ方、デザインなど、パンに関するあらゆる情報のアウトプット拠点として、またインプットするチャレンジの場としての役割を担っていきたい。
そしてパンを愛する、同じパッションを持つ方々の夢を紡ぎ、パンの魅力を共に広めていきたいと願っています。

ラヴィデュレーヴは、まだ夢の途中です。生まれ育った岡崎の地で、お客さまと共に未来を見つめ、想像しながら成長する。“パンのある生活”の潤い、豊かさを感じていただけるよう、これからも常に進化していきたいです。

Shop Infomation

店舗情報

ラヴィデュパン la vie du pain

フランスの食卓のような“パンのある生活=la vie du pain”を日本の文化、生活にマッチするスタイルで提案。オーナーの加藤大貴が日本やフランスの名店で吸収したパン作り、店づくり、経営のノウハウなど、すべてを注ぎ込み、フランスの香りを感じる洗練されたパンを届ける。岡崎における、本場フランス仕込みのブーランジェリーのパイオニアとして、オープン以来、多くの方々に愛され続けている。

岡崎市真伝町供養坊16-6
tel 0564-83-8029
時間 10:00~18:00
定休日 月・火定休
Instagram @laviedupain

フランスの食卓のような“パンのある生活=la vie du pain”を日本の文化、生活にマッチするスタイルで提案。オーナーの加藤大貴が日本やフランスの名店で吸収したパン作り、店づくり、経営のノウハウなど、すべてを注ぎ込み、フランスの香りを感じる洗練されたパンを届ける。岡崎における、本場フランス仕込みのブーランジェリーのパイオニアとして、オープン以来、多くの方々に愛され続けている。

岡崎市真伝町供養坊16-6
tel0564-83-8029
時間10:00~18:00
定休日月・火定休
Instagram@laviedupain