フルール・フルール FLEURS FLEURS
商品開発・プロデュース
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ベーカリーショップ
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岐阜県土岐市
山と海に抱かれた、自然豊かな幸田町・三ヶ根駅からほど近く。電信柱の看板を頼りに、小学校へと続く細い坂道を上ると、閑静な住宅街の一角にお目当ての「un」が姿を現します。
店名は、フランス語で「1」を表す「un」に“オンリーワン”の思いを込め、オーナーの思い入れが詰まった「あん」パンの音を掛けたもの。自宅の一部を改装した店舗は、ほっと心が和むレトロなエッセンスと、洗練された和の要素が調和し、安らぎの風が流れます。
「バプール」をベースとしたのれん分け店として産声を上げた「un」には、毎日オープン前からファンが列を作り、焼きたてのパンを待ち侘びています。
「こんなに幸せで良いのかしら?」と笑うオーナーの桐山早苗さんに、お店のこと、パンに込める思いをうかがいました。
― パン屋さんを開きたいと思ったきっかけは?
もともと料理が大好きで、オーダーキッチンや特注の造作家具を請け負う会社を経営していたんです。忙しさにかまけて両親への連絡や里帰りを疎かにしていた頃、突如父が倒れて救急車で搬送され、母が重度の乳がんであることが発覚。両親の介護・看病のために事業の継続を諦め、帰郷することを決めました。
40代半ばから始まった介護・看病の日々。3年ほど前に2人を安らかに送ることができたのですが、自分でも想像していなかったような虚無感に襲われて、何もやる気が起きなくなってしまったんです。そんな時、大好きなパン作りなら頑張れるかもしれないと思い、スーパーに入っているベーカリーショップで働くことにしたのですが、全然楽しめなくて。
パン作りが嫌いになりかけて途方に暮れていた時、たまたま足を運んだのが「バプール」でした。「なんて夢があるんだろう!人を笑顔にする、何て素敵な店なんだろう!」。「バプール」の世界観に一気に引き込まれ、「私もパン屋さんをやってみたい」という思いが膨らんでいったんです。
気が付いたら「バプール」、本店の「ラヴィデュパン」、オーナーの加藤さんのことを夢中で検索していました。
― 運命を変えた「ラヴィデュパン」、そしてオーナーとの衝撃的な出会いについて、お聞かせください。
ショップのプロデュースなどもしているということをWEBサイトで知り、早速電話をかけて思いを伝えました。その時はまだ軽い気持ちで、大好きなパンを焼いて箱に並べて、どこか工業地帯や企業、駅前なんかを行脚してお小遣いが稼げればいいかなという程度でした。
電話口で加藤さんから「お会いする前に一度、本店のパンを食べてみてください」って促されて、数日後初めて「ラヴィデュパン」でパンを買って食べてみたんです。
その時の衝撃は、今でも鮮明に覚えています。
シンプルなんですが、とにかく初めての感覚で。「こんなパンを作れる人なら、絶対に信用できるはず」という直感がありました。その後、加藤さんにお会いして、その直感は確信に変わりました。「この人に付いていけば、パン屋さんを持つという夢が叶うかもしれない」、「この人の言うことは全部聞き入れて、どんなハードなことでもやり遂げよう!」。加藤さんには、そう信じさせるオーラと人間力があったんです。
― 加藤さんと出会って以降、開店まではどのようなスケジュールで進んだのですか?
2022年2月に加藤さんと初めて会って以来、ものすごい勢いで怒涛のように時間が流れ始めました。研修期間は約1カ月。朝4時に自宅を出発して、ラジオで終わりがけの『オールナイトニッポン』を聴きながら車で岡崎へ向かい、朝5時に始業。
分割、丸め、成形など加藤さんが組み立てたプログラムに合わせて、毎日午後3時頃まで、とにかくパン作りに没頭しました。
ラヴィデュパン、バプール、クラストパンと各店で研修を重ねる日々。体力的には、とてつもない疲労感でしたが、共に朝5時から働く若いスタッフの方たちのプロ意識にも刺激をもらいながら奮起し、技術はもとよりパン職人として大切なことをたくさん学びました。
― 趣味で続けていたパン作りとの最大の違いは?
何から何まで新しいことの連続でしたが、中でもインパクトがあったのは、生地にはなるべく手を触れない、負担を与えないという教えですね。それまで趣味で作っていた時は、生地をこねる際、バッタンバッタン叩きつけるようにパンチしていたのですが、逆に手をかけずにゆっくりと寝かせてあげることが大切だと教えられ、目から鱗状態でしたね。
―研修中、オープンにいたるまではどのような心境でしたか?
毎日、平均台の上を歩いているような気分ですよ。少し右に重心がずれると不安の沼に落ちそうで、左に触れると“やるしかない!”というプレッシャーに身震いする。
その狭間で行ったり来たりしながら、右に傾いて弱気になりかけた時には、加藤さんが作ったパンを食べるんです。加藤さんが作り出すパンを食べると「絶対大丈夫!」「最後までやり抜けば、きっと先の道が開ける」と信じる気持ちが湧き上がってくるんです。
言葉ではなく、人間性からメッセージまで、パンですべてを表現できる加藤さんは本当にマジシャンのような方ですね。
―8月に念願のショップがオープン。今はどんな日々を送っていますか?
レーヴシステムによる3kgの冷凍生地をもとに、生地を分割するところから始まります。当初は毎朝5時から仕込みを始める予定だったのですが、ありがたいことに大勢の方に来店いただいているので、午前中で完売してしまう日が続いて。数を増やすために、今は朝の3時から仕込みをして10時のオープンまでひたすら作り続けています。
たくさん売って儲けを出したいとか、いつかお店を広げたいとか、そういう思いは一切ないんです。ただ、せっかく買いに来てくださった方に「売り切れです」とお伝えすることがとにかく心苦しくて。1個でも2個でもいいから多くの方に食べてもらえるようにとの思いから、毎日20数種類、約400個を作ってお待ちしています。
―看板商品は?
店名の由来にもなっている「unパン」です。昔からあんこを炊くのが大好きで、父を介護していた時に「おいしい、おいしい」って食べてくれた顔が浮かぶんです。
思い出のあんこをベースに、加藤さんと相談しながらあんパン用に改良を加え、加藤さんが考案してくれた大判焼きのようなどこか懐かしさを感じるフォルムの生地で包んでいます。
もう一つは「クロワッサun」。加藤さんが「un」用に生み出してくださったストライプ調の斬新なデザインもさることながら、新たな製法によって生み出されるパリパリ食感は、一度食べたら忘れられないとリピーターの多い1品です。
―これからの夢についてお聞かせください。
今、「こんなに幸せで良いのかしら?」と思うほど、心の底から幸せを感じています。両親との思い出が詰まったこの家の一角で、大好きなパン作りに打ち込み、愛すべき友人やスタッフに支えられてお客さまをお迎えできる。
夜が明けきらないうちから一人、キッチンで仕込みをしていると、お客さまの「おいしかったよ」っていう笑顔が浮かんできて、今日もおいしいパンを作ろうって思えるんです。
大袈裟に聞こえるかもしれませんが、私の作るパンで戦争を止めることはできないけれど、近くにいる人を幸せにできるかもしれない、笑顔になる時間を提供できるかもしれない。それが私の夢であり、そう信じることが私の一番のモチベーションなんです。
「バプール」のパンを親友たちと初めて食べた時の「おいしい!」というみんなの笑顔。あんな笑顔の輪を広げるパンを私も作りたいーー。その一心で、加藤さんに初めて電話をかけてからわずか半年ほど。自分の人生がこんなに大転換するなんて、想像もしていませんでした。
58歳の私でも、パン屋を開くという夢を叶えることができました。だから、パンのある生活で笑顔の連鎖を広げたいと願う人にとって、少しでも勇気を与えることができたら嬉しいです。
「三ヶ根食パン」などレーヴシステムの冷凍生地による20種類ほどのラインナップに加え、クラシカルで作り手の個性が際立つ手ごね生地のハード系パンとして、バゲット、カンパーニュ、リュステックなどをプラス。先端の冷凍技術や機器を駆使したレーヴシステムの優位性と、手作りの温もりを感じるアナログ感が融合した、新たなスタイルでパンのある生活を届ける。
愛知県額田郡幸田町深溝山畑10-3
tel 0564-62-0688
時間 10:00~17:00(売り切れ次第閉店)
定休日 日〜火曜
Instagram @unbakerskiri
「三ヶ根食パン」などレーヴシステムの冷凍生地による20種類ほどのラインナップに加え、クラシカルで作り手の個性が際立つ手ごね生地のハード系パンとして、バゲット、カンパーニュ、リュステックなどをプラス。先端の冷凍技術や機器を駆使したレーヴシステムの優位性と、手作りの温もりを感じるアナログ感が融合した、新たなスタイルでパンのある生活を届ける。
愛知県額田郡幸田町深溝山畑10-3
tel0564-62-0688
時間10:00~17:00(売り切れ次第閉店)
定休日日〜火曜
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